2人が本棚に入れています
本棚に追加
だって、ありえないじゃないか。店員が出てこないファミレスもおかしいが、心を読んだかのような注文の受け取り方だなんて。きっと、俺が無意識に注文してたんだ。トイレ行くよー、と行ったときに。きっとそうだ。俺はそう考え直すことにした。
窓を見ると、人が歩道を歩いていた。はじめは四十代ぐらいのおっさん。自販機に飲み物かタバコでも買いに行くのか、足はサンダルだ。
次に、恰幅のよいおばさんが犬の散歩をしていた。
「.........」
考えないようにした。
きっと、寝ぼけてるのだ。読心術が使えるウェイター?
いやいや、そんなことできるなら、もっと悪巧みしろよ。ファミレスのウェイターに満足してんなよと思う。そうだ。ありえないことだ。俺は考えないようにした。
「……あぁ」
ここWi-Fiなかったっけ。くそっ。いいや、またスマホでもしてよ。
……来ないなぁ。
「――っ」
ソーシャルゲームをプレイしてると、三十分ぐらいは余裕で経つ。いや、三十分って。
「………」
来ないなぁ。
もう、一時間になろうとしていた。注文してから一時間。
「ここは何なんだよ。おい、遅いよ。俺は長居するために来たんじゃないのにさ」
ドリンクバーのコーラを何度も飲み干し、ゲップを大量にし、まだかまだかと待ち構えるが、注文した品は一向に姿を見せず、流石に怒った俺はクレームしたろかと席を立つが。
「――あ?」
立った瞬間、司会のすみに温かい食べ物が放つ湯気が見えた。視線を下げると、温かそうなハンバーグが皿の上にデンッと乗っけられていた。
「え」
いつのまにか、ハンバーグがテーブルにおかれていた。
「……え、え、……は?」
さっきまで、スマホをやっていたとはいえ、誰かが持ってくれば気づくはずだ。いや、天井に穴を開けて降下しても、目に見えない早さで皿をおいたとしても、流石に分かると思うんだ。だが、今のは何だ。
「.........」
まるで、瞬間移動というか。ワープでもしたかのように、いきなりだった。いきなり、俺の前にハンバーグがおかれていた。
「あ、あ、いや、き、気のせいか。ちがう、夢かこれ」
頬をつねるが反応なし。
おかしい。
ここは、おかしい。
店員と会わないだけでもおかしいのに、いきなりハンバーグ?
注文を把握してたのだっておかしいし。
「………」
最初のコメントを投稿しよう!