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「それなら、ゆっくりご飯を食べながら話しましょう。さあ、配膳を手伝ってください」
そう言うと、エルとリズは頷いた。スープとパンと言った質素な朝ごはんだ。蓋を開け、お皿に注ぎ始めると、遠目から様子を伺っていた子供たちが、群れを作り出し、トレーに乗せられた朝食を受け取っていくと、各々好きな場所で食事を始めた。
シイナは二人分の朝食を乗せたトレーを持って、リリが突っ伏している隣に座った。かたん、と言う音にリリは顔を上げる。
「リリ、おはよう。ご飯を食べよう。エルたちも、ここに来て、一緒に食べましょう」
そういって、皆の配膳を終わらせた二人は、自分の朝食をもって、シイナの正面に座った。
突然大人数になったことへ、不満を露わにしたリリは、早くその場を立ち去ろうと、急いでパンを口に放り込む。
「それで、カルのことですが、正直、紹介しようにも、私自身が、大した情報を持っているわけではないんです。けど、これだけは、共有しようと思っていることがありまして。実は……カルには記憶がありません」
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