始まりの物語

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   シイナから告げられた予想外の紹介にエルとリズは、声を揃えて聞き返す。一方リリは、スープを一気に飲み干し、もう用はないといわんばかりに立ち上がり、部屋を出た。向かう先は、先ほどまでいたベッドルームだ。    シイナはその背中を静かに見送ると、背中に乗っているカルの頭を撫でた。朝食には手を付けず、シイナにしがみついている。  「カルは、もともとは、リリと同じフォンターナの部屋にいたんです」  “フォンターナ”その名前に反応するように、カルの手に力が入った。  「リリと同じ?顔を合わせたことはなかったの?」  エルとリズは同時に同じことを尋ねる。  「ええ。リリはこの部屋に来るのが早かったものですから。ちょうど入れ違いといった形です」  「だから、リリはカルに興味を持ったのか」エルが何かに納得し、シイナのほうを見る。「実はさっき、リリがカルの目を見て、誰?って聞いたんだ。すぐに興味はなくなったみたいだけど、珍しいこともあるもんだなって思った」  「リリが?それは素晴らしい。きっと何か通ずるものがあったのでしょうね。リリとの会話はタイミングが大事ですから、もしリリが聞いてきたら、教えてあげてください。カルのこと」  シイナは、まるで我が子の成長を喜ぶかのように、嬉しそうだ。
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