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ペチュニアの咲くころに
「今回は、数名の部隊分かれてもらう。お前たちが担う仕事は、狙撃兵の発見、および殲滅。目立たず、ネズミのように動け。一時間後、軍隊が迎えに来る。それまで各自準備し、二、三人に分かれてろ」
指示者であるロニー・ノーマンは、淡々と機械的に伝えていく。
外へ連れ出され、軍服に身を包んだ数名の少年少女たちは、突っ立ったまま、なんの疑問も抱くことなく、その言葉を受け入れる。
まじめな顔をして話を聞く子、つまらなそううに話を聞く子、手遊びをしている子、呆けながら空を見ている子。その聞き方には個性があった。
「いいか、リリ。くれぐれも、目立たないことだ」
名指しで注意してくるノーマンに、腹を立てたリリは、そっぽを向き、ふらふらと歩き出した。
「・・・・・・はやくたたかいたい」と呟いて。
そのまま集団と離れ、一人歩いたリリは、軍服をまとった数人の兵士を見つけた。今回共に戦うとノーマン教えられた軍服に身を包んでいたが、こそこそとした動きはあまりにも不自然で、リリは彼らを敵軍と判断した。
リリは知能数こそ低いが、こういうことには敏感だ。口角を上げながら、敵軍の死角に入り、息をひそめる。ナイフを両手に持つと、最高に興奮した。
敵はおそらく8人。どの兵士もいかつい体格に、重厚な装備を身に着けていた。
リリの身長は129cmと、幼いころより投与された薬のせいか、周りと比べてかなり背が低い。八対一ではさすがに、厳しい。そう考えたリリは、不意打ちにすべてを掛けることにした。
敵は殲滅せよ。脳に焼き付いた言葉を再生する。
息を殺し、少しずつ獲物に近づく小さな姿は、まるで猫のように無駄がない。心の中でカウントし、敵軍のすきを見つけたリリは、一気にナイフを振り上げ、駆け出した。
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