9 love and hate (五十嵐 カケル)

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 キスをされた。  立花さんの腕が首に回される。  口を開けて深いキスを受けとめた。  吐息と共に唇が距離をとる。  唾液が糸を引いた。  立花さんをベッドへあげ、腕で後頭部を囲って仰向けにさせ、口腔をきつく吸った。  立花さんの体がびくびく動く。  感じてくれてる……。  涙が滲んだ。  どれだけしても足りない。  飢えを癒すように何度も口づけた。  気づいたら、朝日が差し込んでいた。  唇、ヒリヒリするな、と立花さんが笑う。  たとえ、俺の本性が悪人であっても、立花さんが笑顔でいられるよう考えて行動すれば、間違えを犯すことはないんじゃないか? だって、立花さんは幸せじゃないと全然笑ってくれない。そして、俺は立花さんの笑顔が好きだ。  俺はこの先、二度と、この人を悲しませたりしない。
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