Sequence 19

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 バリバリバリバリーーー。  静寂を打ち破る機械音に飛び起きた。  明るい窓の前に立つと、そこには見渡す限りに広がる壮大な青空、豊かな芝生と多種多様な花が咲き乱れる庭があり、木々の葉の隙間からは太陽の光を反射して煌めくエメラルドグリーンの海が見えた。  目を瞠る美しさに息を呑む……。そんな感動を思う存分堪能したかったが、騒音の原因である物体が視界を横切り呆気なく終了した。  カメラを搭載したマルチコプターが飛んでいる。予定にない事を好き勝手に始める人物は一人しか考えられない。  室内にいても外の光が眩しかった。日本でいうと真夏の10時から12時ぐらいの強い陽射しだ。  ……今は何時? 素朴な疑問が頭に浮かんで青ざめた。  慌てて腕時計を見ると、針は6時30分を差している。昨夜、空港に到着してすぐ時差修正を行ったから間違ってはいないはずだ。  日の出から1時間ぐらいしか経っていないはずなのにもうこんなに陽射しが強いのか。てか、9時間近くもぶっ通しで爆睡したのはすごく久し振りだ。目覚めが良く、身体が軽い。自然に囲まれて空気が澄んでいるからだろうか。  熱いシャワーを頭から被り完全に眠気を飛ばした。  部屋に置いてあったボストンバックの中には、半袖のTシャツとハーフパンツが2枚ずつ、前開きの長袖リネンシャツが1枚、あとは下着、サンダル、キャップが入っていた。いずれもロッカールームに置きっ放しにしている俺の愛用品だ。
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