Sequence 19

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 見慣れない日焼け止めクリームは封が切られていない新品だった。渚はこんな気の効いた物は入れないし、経歴の浅い三浦も同じ。だとすると、これを用意したのは沖田だと察しがつく。  ドロップショルダーの白Tシャツとネイビーのハーフパンツを選んで身に付け、ゴム製のサンダルを足指に引っ掛け、最後にサイドテーブルに置いていた眼鏡とボックス型のペンダントを装着する。  スマホにも手を伸ばしてホームボタンを押すと、順平からメッセージが2件届いていた。いずれも昨夜のうちに受信したようで、一つは『無事に着いたかな?』、もう一つは『気付いた時でいいから連絡して』だった。  ……失敗した。こっちに着いてから連絡するのを忘れていた。  忙しさにかまけて連絡が疎かになるから何処にいて、何をして、何を考えているのか、分からなくなる。反省したばかりなのに、長年の習性はなかなか直らない。  この時間はもう起きているのかな……?  そんな些細な事さえ分からず、ムシャクシャしたり、モヤモヤしたり、ガッカリしたりするのは今日で終わりにしようと思う。  スマホを持ったまま眩しい窓辺に歩み寄り、シャッターを押した。  寝起き一番に見た感動をアイツにも見せてやりたい。  『着いてるよ。いい眺めだろ』  送信した後、スマホはサイドテーブルに戻した。順平から返事が来るかもしれないが、今は気を散らしたくなかった。 「さてと……」  マルチコプターの飛行を見せられて二度寝なんてしていられない。  予定より少し早いが、楽しい時間の始まりだ。
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