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家を出る直前、順平に引き留められた。
「何これ?」
「プレゼント」
首にホワイトシルバーの鎖が回り、胸の中央に正方形の厚みのあるペンダントトップが落ちる。
「ロケット?」
あまりにゴツイから蓋が開くのかと思った。でも順平は「違うよ。そういうデザインなんだ」と言いながら鎖と一緒に俺の鎖骨を撫でる。
デザインというほどの装飾は無い。シルバー金属の表面はつるつる。側面の細い溝に青いラインがぐるりと一周しているだけ。
第一印象は、邪魔だな、だった。
「これは俺の代わり。肌身離さず着けていてね」
順平にそう言われると、もう外すことはできない。火事が起きても、拳銃を突き付けられても、これは俺の一部だから切り離すことはできないって頭が認識する。
***
週明けの月曜日。この日は必ず朝9時から会社の連絡会議が始まる。
参加するのは社長、プロデューサー、チーフディレクター。あとは時間の都合がつくディレクターやAD等々。メンバーに制限が無いのは会社に会議室なんて立派なものはなく、4階事務フロアのど真ん中で会議がオープンに進行するから。あと、チーフディレクターは会議より仕事の方が優先で代理を立てることが多いから。
楕円形のテーブルに用意された8人分の椅子は、その半分がすでにチーフディレクターで埋まっている。奥席から順に、吉良欧州さん、夕海子さん、海平航軌さん、俺。
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