僕の歌

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どうも気分が乗らないときはシャッフルボタンを押す。ちょっと聞いてしっくりこなかったらスキップボタン。2、3回押してはたと指をとめる。 アコースティックバージョンのこの曲は、原曲よりもかなりゆったりとしている。しかしながら、こちらの方がいくらかきらめきを多く含んでいるんじゃないか? 数年前の僕はそんなことを思っていた。 この曲を聴くとあの夏を思い出す。 彼女に聴かせたかった曲。出来るなら、星を眺めながら……なんてロマンチックなことを思っていた。 彼女は自分が思っているよりも優しくて、自分が思っているよりも強い。そんな人だった。彼女の芯の通った強さに惹かれたし僕もそうありたいと思った。 周囲の人からまっすぐにのびのび生きていると思われがちな僕は、実際のところ心の中は屈折ばかりだった。だから彼女の繊細な寄り添い方に癒されていたんだと思う。彼女の側にいる時間が僕にはしっくりきていた。 僕が八方美人な態度をとっていたせいで、彼女は身を引いてしまったのだろう。 「君のそばにいたい。 君の隣にいる時間が一番素の自分に戻れる時なんだ」 そうはっきり伝えて、引き留められたらよかった。 自分のイメージばかりを気にして動けなかった僕を彼女はどう思っただろう? 出来ることなら君にもう一度会いたい。 叶わなくとも君が幸せであるように。 そんなことを願ってギターの音に耳を澄ました。
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