失恋から始まる出会い

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 私の言葉に、とくだ君は辛子明太子のような唇で笑った。  なんだ。笑顔は可愛いじゃない。  思い切って、新しい恋をしてみてもいいかも。   「私ね、好きな人に裏切られちゃったの。彼、結婚してたんだって。今日ホントは、彼との記念日で、海で一緒に泳ごうと思ってたんだ。……だけど、もう彼とは泳げないの。私の恋はもう、凪いでしまったの」  海が、私のちっぽけな告白も全て受け止めてくれる。  さようなら……海の泡に消えてしまった、私の恋心。 「ねえとくだ君。新しい恋はどうすればすぐに見つかるのかしら」 「簡単だ。いい男に恋すりゃいいのさ。君の目の前に、俺が居るだろ?」  とくだ君のどうでもいい言葉を受け流し、私は海を見つめた。  いい男、か。どこにいるのかしら。水平線から来る大漁旗のイカ釣り漁船のように、私の所まできてくれたらいいのに。
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