母はアルバム星人

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 最初に言っておくと、わたしの母はアルバム星人だ。常に首からカメラをぶら下げてシャッターチャンスを狙っている。  ちょっと待て。だったらカメラ星人じゃないか。このようなツッコミをしたいだろうが、少し待って欲しい。  確かにそういう一面もあるだろう。しかし母にとってカメラはアルバムを作るための道具にすぎず、写真が撮れるならスマホでもいいと言っている。ゆえに、母はアルバム星人なのだ。  パシャ、パシャ。 「はーい、こっち向いて。そうね。うん。いい感じ」  パシャ。  食事中にもかかわらず、母はカメラをかまえ、撮影に夢中だ。  わたしはだらしなく開けていた口をあわてて閉じる。イタッ。ああ最悪。舌をかんでしまった。 「あー、なんで閉じちゃうの。自然な感じがよかったのに」  ぶつくさ文句を垂れる母に、わたしは辟易せざるを得ない。別段美人というわけじゃないけれど、わたしも一応年ごろの女子だ。カメラを向けられたら多少は意識する。
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