母はアルバム星人

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「まあ。恥ずかしがっちゃって」  ふふ、と微笑む母に対し、 「違うんじゃない?」  と、わたしは静かに反論した。    ※※※  時刻は午後十一時をまわっていた。母は書斎にこもり、ある作業にとり組む。首からぶら下げていたカメラからSDカードを抜き、パソコンにつなぐ。  パソコン画面を、今日撮ったと思われる写真が埋め尽くす。どれもこれもすべてわたしが写っている。わたしはそれを苦々しく眺めては、母がピックアップする写真にいちいちケチをつけていく。  怖すぎ。白目剥いてる。あごがはずれそう。服が乱れすぎ。ヤバい。目つき悪っ。ブレすぎ。羅列すれば、いくらでもあるのだけれど、これぐらいにしておく。いい加減にしないと、自分の写真で卒倒してしまいそうだ。 「まったく、疲れる子だねえ。ちょっとは黙ってなさいな」
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