4人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ。恥ずかしがっちゃって」
ふふ、と微笑む母に対し、
「違うんじゃない?」
と、わたしは静かに反論した。
※※※
時刻は午後十一時をまわっていた。母は書斎にこもり、ある作業にとり組む。首からぶら下げていたカメラからSDカードを抜き、パソコンにつなぐ。
パソコン画面を、今日撮ったと思われる写真が埋め尽くす。どれもこれもすべてわたしが写っている。わたしはそれを苦々しく眺めては、母がピックアップする写真にいちいちケチをつけていく。
怖すぎ。白目剥いてる。あごがはずれそう。服が乱れすぎ。ヤバい。目つき悪っ。ブレすぎ。羅列すれば、いくらでもあるのだけれど、これぐらいにしておく。いい加減にしないと、自分の写真で卒倒してしまいそうだ。
「まったく、疲れる子だねえ。ちょっとは黙ってなさいな」
最初のコメントを投稿しよう!