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4月1日
春休み。
強い風。
4月1日。
学校指定のジャージを着た僕は、イヤホンから流れる大好きな曲を聴きながら、通い慣れた道を歩いて学校へと向かう。
桜の花びらが舞って、僕の視界は淡いピンクに染められた。
春休みでも部活はある。
大きなあくびをした僕をその場に引き止めるように、空から降りてきた遮断機の向こうで、同じクラスの女の子が髪を押さえながら空を見上げていた。
丈の長い真っ白なニット。
グレーのプリーツスカート。
黒いソックスとスニーカー。
大人びた服装の彼女は、普段の制服を着た姿とは別人のように見えた。
別に特別仲が良いわけじゃないし、気になっていたわけでもない。
それでもピンク色の世界に立っている彼女を見た僕は、急にリズムの上がった鼓動に少し戸惑った。
彼女の視線を追いかけるように、僕も空へ目を向ける。
霞のかかったような青空には、眩しく白い雲がちぎられた綿菓子のように浮んでいた。
電車が通る。
ぼんっと言う風圧。
目の端にふわりと舞うグレー。
顔を空へ向けたまま、僕はスカートの下から覗く彼女の透けるような脚から目を離せずにいた。
通り過ぎる電車の車両の継ぎ目で、まるで古い映画のフィルムのように、スカートを押さえた彼女の目がゆっくりと僕に向けられる。
僕は慌ててその場にしゃがみ、スニーカーの靴紐を結び直すふりをした。
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