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「ミナサン、アイシアッテルカーイ?」
小教室にリン先生の可愛らしいかけ声が響く。
木曜五限目『中国語』講義の開始合図だ。
先生はまだ顔立ちにあどけなさの残る二十五歳。
五人いる中国語教師の中でもっとも当たりなのは言うまでもなく、他の先生に割り振られた友人たちからはかなり妬まれた。
夏季休暇を目前に控えた七月の第一週目。
前日にほぼ徹夜で『返還後二年の香港ーー中国はどう変わるか?』という課題レポートに取り組んでいた僕は、正直に言えば少しだけ眠たかった。
しかし、この授業だけはサボるわけにはいかない。
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