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「ねえ、それより村沢さん細かったよねー、さすが読モやってるだけあるわ。あの細さだから洋服が綺麗に見えるのね、きっと」
「ほんとそう。自分のデブさ加減にほとほと呆れるんですけどっ。あぁ、学祭まで少しでも痩せよっかな」
「そだね、協力する。それより、その紙袋は何?」
「ああ、これ? なんか私に似合いそうな服があるからって、都築がくれたの」
「えー何それ、超ラッキーじゃん。いいなぁ私には何もない......」
そう言ってふて腐れていたまりもだったが、家に帰ってその洋服を着てみたゆりの感想はというと「オバさんみたい」だった。それでも、週一であるミーティングに着ていくと、都築は目を輝かせて「かわいい」と言うのだった。ゆりは都築にかわいいと言われたいが為だけに、その洋服を着用した。そして何回めかのミーティングの時に思い切って聞いてみたのである。
「ねえ都築。スカートが履いてみたいんだけど、私には似合わないかな?」
すると都築は丸メガネぐらいに大きく目を見開き、嬉しそうにスカートを手渡した。しかしそれは膝下ミモレ丈のロングスカートだったのだ。
「ねえまりも。私は十代には見えないのかな?」
「どういうこと?」「十代と言ったら青春真っ只中。はつらつとした健康的な体は多少露出が多くてもセクシャリティーが少ない。なのになぜ私はそれが許されないの?」
「ごめん、ゆり。力説の所悪いけれど、もっと単刀直入に言って何なの?」
「つまり、都築がくれた洋服はどうも十代が着るようなものではないと言いたいの」
雨降りの火曜日。薄暗い空から降る雨が、教室の窓を叩いていた。数人で机を寄せ合って幾つかのグループが出来、それぞれが昼食を楽しんでいる。その教室の隅で、まりもが購買で買ったパンを大口開けて食べようとするのを、ゆりは野菜ジュース一つで我慢していた。
「全部が可愛いことには変わりないの。でもね、十代で着るべき露出が極端に少ないのよ。私は見せるに値しないってことなの?」
「ミーティングに着てくる服は大人っぽくてゆりに似合ってると思う。でも、確かに露出は少ないね。なんでだろう」
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