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「でも多分、難しいと思う。私は高校生だから、親に許可をもらわないとダメだって」
「そっか。まだお父さんたちに俳優になりたいって伝えてないもんね」
「うん。旅館をついで欲しいと思うから、言えない。
せめて、何か成果を出してからじゃないと」
「そうだね」
「早く大人になりたい・・・。自分で何でも決めれるようになりたい」
私は恥ずかしくなる。自分の言っていることが田舎娘の夢物語だってわかっている。
美蘭は私の様子を見て微笑む。
「・・・誰にも言わない」
「うん、私と美蘭だけの秘密にして。他の子に話したらすぐ島全体に広まるから・・・恥ずかしい」
「わかった。真菜の秘密教えてくれてありがと」
私は嬉しくなった。美蘭と私の秘密。
私の一番の人に誰にも言えないことを共有できること。
胸の奥があったかくなる。
「じ、実は私もね、真菜に伝えたいことがあって・・・」
美蘭は急に顔を下にし、伏せ目がちになる。
いつもは饒舌な彼女が言葉を探している。
「彼氏ができた・・・」
私は言葉を失った。
心臓が破裂しそうになる。
「誰・・・?」
聞きたくないのに勝手に口が動いていた。
「高橋先輩。ほらこないだ、夏祭り誘われて、クラスの何人かで行ったじゃない。その時話しかけられて、アドレス交換したの」
「なんで・・・?」
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