想い出話1

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想い出話1

僕の嫁は魔法少女である。 こんなふうにいうと、頭がおかしいんじゃないかと思われるかもしれないけれど。 ホントなんだから、仕方ない。 彼女は界獣への、唯一の対抗手段だった。 何しろ界獣というやつは、でかくて強い。 物理法則など、完全に無視である。 どうしてあんな化け物が出現したのか。 ここについては意見が分かれている。 宇宙人説、有害化学物質(あるいは、放射能)による突然変異体説、はたまた人類の欲深さに業を煮やした神の代理人説に至るまで、ありとあらゆる可能性が議論された。 が、今のところ満足のいく答えは得られていない。 分かっているのは、界獣が「やたらめったら強い」という事だけだ。 あまりの強さと冷酷さに、いつしか人々はそれを「界獣」と呼ぶようになった。 「怪獣」では緊張感がなさすぎるからだ。 それは圧倒的な力で市街地を破壊した。 高層ビルをなぎ倒し、住宅地を踏み潰した。 界獣は口から炎を吐き、尻尾から白色破壊光線を放出した。 罪もない人々が焼き殺され、一瞬にして消し炭と化した。 自衛隊も、安保条約に引っ張られて渋々ついてきたアメリカ軍も、まるで歯が立たなかった。 F35AもF15-Jも、界獣の前には周囲を飛び回る五月蝿い小蝿に過ぎなかった。
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