2 怪異、お化け屋敷

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そんなある日。 「うう...こ、怖いよう」 夜の暗がりの中、懐中電灯一本を持って、私はお屋敷をさまよっていた。 通常15時上がりの私が、何故、今日に限って夜の9時にもなって職場(ここ)に居るのかというと…… ええ、昼間にからです、はい。 例の眠たそうな顔をしたチンチラ、『カズヒサくん』。 再三にわたる脱走で我々メイドを悩ませている憎いアイツを、今日の餌やり当番だった私が取り逃がしてしまった。 いつもであれば、定時になればアサダさんが「捜索打ち切り!」宣言を出してくれるのだが、折悪しくも明日は、獣医さんの検診日。 結局見つからず、皆が困った顔を見合わせる中、 良い人でいたい私は、自ら、 「私のせいなんで、残って見つけまーす!」 などと手を挙げてしまったという運びだ。 そして今に至るわけなんだが… 「クッソぉぉ」 カズヒサときたら、よりにもよって、何でこんな遠くまで逃げるんだ? え、待って。 もしかして、よく考えたらここ、例のお化け屋敷の近くじゃない? 実はこれまでに、私は何度も奴を目撃していた。 奴ときたら、私が諦めかけると姿を現し、追いかけるとまた姿を消す。まるでそういう遊びを楽しんでいるかのように。 それを繰り返しながら、いつの間にか、こんな外れまできてしまっていたようだ。
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