2 怪異、お化け屋敷

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ただ、そのお陰で私は、このクソでかい屋敷の全体像を把握することができた。 まず本館。 エントランスには、大正時代のダンスホールを思わせる大広間があり、シンデレラでも降臨しそうな、大階段が設置され、2階の廊下に繋がって、左右の部屋に分かれている。 1階は半分のスペースがロフトのホールで、残り半分が、食卓(ダイニング)厨房(キッチン)、応接室、それに、大浴場(バス)にトイレ、使用人のロッカー兼休憩室、物置なんかが配備されている。 2階の部屋数は全部で8部屋。 右側の廊下に並ぶ4部屋が家族の部屋で、大旦那様の息子さん2人と、先程の娘さん1人の部屋。もう一部屋は、大奥様の部屋だが、今は施錠してある。 左側の廊下は客間で、お客さんがいる時以外、出入りは殆どない。 敷地の北側には、和建築の別邸があり、全部が大旦那様(おじいちゃん)の居住区だ。ここは、別名藤城翁屋敷と呼ばれ、我々、使用人から敬遠されている。 百畳はある大広間を囲んで、長い板張りの廊下があり、周りに5つの部屋と厨房、檜風呂に廁などがある。 南館は、屋敷をガードするドーベルマン3匹の飼育小屋と、ブリーダーさんや庭師など、業者が泊まり込みで作業する時の宿泊所がある。 このほか、敷地内には古い蔵がいくつか建っているが、今はあまり使われていないようで、ガラクタ置き場と化している。 アサダさんによると、宝物類(!)はもう半世紀も前に、本館地下に移されたのだそう。 (ちなみに、地下へと続く扉はいつも硬く施錠されている) 以上がこの御屋敷の全マップ。 そうだ、ひとつ忘れていた。 本館からかなり離れた林の中に、隠すように、おんぼろ小屋が建っている。 ここにはたまに……“出る“らしい。
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