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成瀬が先を言う前に翼が断ると、成瀬はすぐに頷いてひらりと手を振った。それに軽く手をあげて応えて、翼は教室を出た。
成瀬はこれから他の男子三人と遊びに出かけるのだろう。そこに翼も混ぜようとして声をかけてきたのだ。そういうふうに成瀬が翼に声をかけることは珍しいことではない。もちろん特別翼が声をかけられることが多いというわけではなく、成瀬は誰にでもよく声をかける。
遊ぶなら人数が多い方が楽しい、あるいは一緒にいることで友情を深められるのだと成瀬は考えているのだろう。その考えはきっと間違っていないし、否定しようなんて思わない。
けれど、その考えが誰にでもあてはまると思っているところは、想像力が足りないなと思う。
誰も彼もが成瀬のように、誰かと一緒にいることを好むわけじゃない。一人でいる方が好きな人もいれば、一人でいる時間を大切にしている人もいる。彼は気さくでかっこよくて、確かに男女ともに人気があるけれど、彼の考え方がいつでも正しくはないのだと気付くべきなのだと思う。
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