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青春の在り処
1
柏田翼が放課後になって最初に考えたのは、今日のこれからの予定についてだった。
今日は翼がやっているソーシャルゲームで行われているイベントの最終日。イベントの開催期間は今日の午後九時まで。今からなら約五時間あることになるわけだけれど、下校や夕食の時間を考えれば、ゲームに当てられるのは約三時間といったところだろう。
その三時間をどう使うことが一番効率がいいのか、昨日から考えていたことをもう一度頭の中に思い浮かべる。イベント限定のキャラクターを手に入れるボーダーには今のところ乗っているけれど、気を抜けばそれも危うい。イベント最終日はいつだってしっかりとしたタイムテーブルを組むことが重要だ。
「なあ柏田」
ゲームのことだけを考えてバッグに荷物を詰め込み終えて、席を立ったところで声をかけられた。振り向けばクラスの男子の中心人物、成瀬がこちらを向いていた。その成瀬の周りには他に男子が三人。どんなことを言われるのかはすぐに察しがついた。
「悪い、今日急いでるんだ」
「そっか。じゃあまた今度な」
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