13話 恨み

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いつの間にか寝てた。 起きたら冬哉さんは居なかった。 でも嬉しかった。…真澄さんのとこに戻ったんだね。 私の怪我は頭切ったのと助骨にひび、足の切り傷。足は少し跡が残ると言われた。 後は顔の打撲、骨や目に異常はなかったけど、入院しなければいけなかった。 当たり前だけど、海原は塀の向こうに入った。 2度と会う事はないみたいで安心した。 しばらくしたら野沢監督や、関係者、今まで共演してた人から山みたいなお見舞いが届いた。 それから映画は私が完治するまで待ってくれるらしい。 『早智』やりたかったから嬉しかった。 お母さんが話てくれた。 「美月が海原に連れて行かれて、警察より、誰より先に美月を助けたの、冬哉さんよ」 「……知ってる」 「美月を助けてから、寝ないで2日間居たの」 「そんな事して、真澄さんに嫌われたらどうするんだろうね?」 「……冬哉さんはね、『美月を一生好きでいる』って。…私に言われてもねえ」 と、お母さんが笑った。私も笑ってしまった。 「結婚する人の言葉じゃないよね」 「結婚しないから私に言ったのよ。…きっとね」 それは本当だった。 数日後、真澄さんがお見舞いに来た。 「もう大丈夫ですか?」 「ありがとうございます。後は助骨さえ直れば大丈夫です」 「……私ね、あなたに謝らないといけないの。……前に『別れて下さい』って言ったの、逆だったのね。私と冬哉の為にあなたが身を引いていたのね。……知らなくて、あなたが冬哉を縛ってると勘違いしてたの。……ごめんなさい」 「あの、その話はどこから…?」 「冬哉以外、誰がするの?……冬哉に『抱きたい女、守りたい女、いる』って言われたわ。……冬哉の方が引けないほど、あなたを好きだったのね……惨めだった。……私はお金で冬哉を繋ぎとめてたのを、嫌ってほど、思い知らされたわ……『ホスト』だったの、忘れるくらい好きだったから、気づかなかったの」
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