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「………」
何も言葉みつからない。
「『ホスト』に貢いで何年間も。…私を好きなんだって勘違いさせてくれて、最高の『ホスト』ね。……最低な男ね。もう少し早く言ってくれたなら、他に好きな人作れたのかもしれないのに……冬哉の気持ちがわかった以上、もう冬哉とはきっと無理ね。……でも情けないけど、まだどこかで私を好きで…結婚してくれるなら、…他に女いても許せるから居て欲しいとか思っているの………だから、聞かせて?……あなたは、冬哉の、本当に『客』?……映画や本みたいに…客じゃなくて知り合ったの?」
真澄さんが、冬哉さんに対しての気持ちに、自分に、ケジメつけたいのがよくわかった。
嘘、言えなかった。
「……客として、お店に行った事ありません……」
真澄さんが、戸惑った表情見せて、それからにこりと笑った。
「ありがとう……言うの嫌だったでしょ?……でも言ってくれてありがとう。……」
そして私に頭下げて、病室から出ようとドアのノブに手をかけてから振り返った。
「……ごめんなさい。わたしは『お幸せに』なんて言えないわ……さようなら…お邪魔しました…」
病室を出て行った。
………これで良かったのかどうなのかわからない。
だけど、もう嘘言えなかった。
冬哉さんの夢が潰れたら、私のせいかな?
店、潰れるような事になったら私のせいだよね。
取り返しがつかない事を言ってしまったのかもしれない。
夕方過ぎて、冬哉さんがバカみたいな花束抱えて来た。
「おう!だいぶ元気になったみたいだな」
「……なに、その花束?」
「病室でどんな花束がいいのかわからんし、お前の好きな花もわからんから、適当にそこらの花全部まとめてもらったらこんなんなった。…病室だと暇だから花とか見たいだろ?」
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