15話 監督

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『空の向こう、海の向こうへ』 の撮影に入った。 私がした経験は演技にリアルさをかけれる。 『死ぬかも』とか『殺意』とか『殺される恐怖』とか、普通経験できないと思う。 想像の、なりきった中でしか演技できない。 貴重な経験だね。確かに。2度と現実ではごめんだけど。 今回のキャスティングは実力ある人ばかりで『乱舞』よりスムーズだった。 今思うと、『乱舞』の為に、監督には本当に無理させたと思う。 AV男優さん起用したり、役作りの為に疑似恋愛までしたり、セックスしたり。 スケジュール押したの当たり前だと思う。 だけど監督は私の『乱舞』の世界を理解してくれた。 本当に凄い監督だと思う。 今回も私は『早智』になって、恋人の『誠一』との死を選ぶくらいの恋を演じなきゃいけない。 セックスシーン上等じゃん。 地主の性の為の金で買われた『若い嫁』やってやる。 今の私には『経験』という強い味方がついてる。 恋人、誠一は冬哉さんとの苦しいほど、切ない日々を糧にして。 地主、藤城との絡みは海原との性玩具として生きてた日々を糧にして。 経験ほど強い味方いない。 地主に性玩具のように扱われるシーン。 私はまた裸になった。セックスするシーンで下着つけるのリアリティーなくて嫌い。 早智『あああっ…もう、はあ、…勘弁してください…んんっ、』 藤城『んう?…お前はもう俺が買ったんだ…はあっ、ほら、腰振れ!もっと俺を喜ばせろ!お前を買った意味がない!…んうっ』 早智、一生懸命、腰を振り続ける。 藤城『んんっ、…上手いぞ!んああ!もっと、もっとだ…んああ!』 早智『ああ!んああっ!イク、んんっ、…イクうっ!!』 藤城『ははは!いいぞ!よがれ!ほら、休むな!』 まるで、あの誘拐された時を思い出させる。 イキたくなくてイキまくる私。 「はい!カットーっ!オッケー!!」
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