16話 引退

1/4
前へ
/131ページ
次へ

16話 引退

私は『女優』を引退する事決めた。 誰が何を言おうと決意した。 野沢監督が居ないからじゃない。 ちゃんと自分自身でもう私の幸せを『女としての幸せ』に決めたからだ。 女優としての幸せはもういい。 冬哉さんと幸せになりたいから。 女優としての幸せに終わりはあったけど、今度は終わりない幸せを求める。 私はとことん贅沢で欲しがり屋だ。 監督の一周忌までは、喪が明けるまでは待って貰った。 私のケジメがつかないまま、次には進みたくないし、まだ悼んでいたかったから。 お墓参りしては文句いっぱい言った。 だって振りたかったよ。野沢監督をね。 「言ってから逝きなさいよね。…ムカつくから、私、幸せになるからね。……野沢監督には『私の女優人生』だけプレゼントするからね。天国でまた会ったらまた『女優』になってあげるから、『監督』やってよね。ありがとう」
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1435人が本棚に入れています
本棚に追加