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そうこうしてる間に書類は最後の1枚になっていた。最後の署名欄にサインしようとして、感じていた違和感の正体に気が付く。
「…ん?おいアンタ」
「アンタ!?…鈴懸殿。流石に口が」
「この書類、どういう事だ?」
無駄に長い報告書だけでもうんざりなのに、何なんだこれは。本当に潰すぞ。
「どうした」
「服従の魔術が掛けられてやがる。これは禁固刑相当の犯罪だが、どういうつもりだ?」
最後の一枚をひらひらとさせながら問いかける。
椅子に描いた陣に意志を持って触れる、カチッとこの執務室の鍵が閉じた音が響いた。
「どう言う事か、説明して頂けますか?」
「は!?い、いや、私はなんとも」
ボーデンの気配が硬質なものになり、空気がピリピリとし始める。
吃りながら後ずさる男は本当に知らなそうだが、この書類…と称した術式を持ってきた時点で同罪。たとえ気付かなかったとしても、それだけで除籍処分に値する。
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