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そしていざ、花束を持ち上げようとした私はすぐに後悔することになった。想像以上に花束は重かったのである。
(重っ。あのプルプルは絶対、重さにたえきれなかったせいだな)
琉というストーカー男に、こんな重いものを買ってきやがってと心の中で八つ当たりしながら、彼と同じように両手をプルプルとさせて花束を洗面所に持っていくとバケツにいれて壁に立てかけておいた。前に花束は冷暗所で立てて保存すると良いときいたことがあるようなないような気がしたので、一応、暗所になる洗面所においてみた。
「もし、萎れちゃったら文句は全部あのストーカー男に言うのよ?」
そう責任転嫁の言葉を、やけに気合が入っているが受け取ってもらえなかった花束にむかって投げかけると、私は洗面所を後にし、重い足取りでリビングへと向かうのだった……。
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