un―アン―

8/10

65人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
 紳士スマイルのまぶしさと私のことを知っている風な口ぶりからの、平素の私でも一般的な高校二年の女子生徒でもありえないであろう(おまけにさっきまで、どうやら杉山さんが仕えているっぽい男に叫んでいた記憶しかない)マダモアゼル扱いという謎の事態に戸惑いと混乱、そしてこそばゆさで口ごもってしまった私が、唯一、言葉を返せたのは『お元気そうで何よりです』という言葉への感謝の言葉だけだった。先ほどまでのストーカー男あらため琉という男への勢いは完全に沈下してしまった。  ちょっと大人の女性扱いがうれしかったとか紳士スマイルとロマンスグレーの色香にドキドキしたとかは内緒である。  いや、別に執事萌え属性とかじじ専とかじゃないですよ? ただ大人の香りというか余裕というか、周りにいない男性のタイプで憧れちゃう的な……。そ、そう!あれ!ファン的なトキメキというか……もう、やめよう。どんどん墓穴掘ってる気がする……。  それにしてもこの人、どこであったんだろう? こんなジェントルマンなおじさん、身近にいな過ぎてインパクト大だとおもうんだけどなぁ……。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加