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 さらに次の日、夕暮れの小道の十字路であのお爺さんを見つけた。  今度のお爺さんは夕日よりも赤い真っ赤っかだった。顔も、手も、首も。あまりに驚いた僕はお爺さんに話しかけた。  なぜ今度は赤色なのですか、と。  お爺さんはこう答えた。 「昨日、研究所に行って事情を聞いたんだ。なぜ黄色になったのだ、と。緑色なのを直してくれるんじゃなかったのか、と。そうしたらやつら涼しい顔をしてこんなこと言ってきおった。あれは青色を抜く薬であって肌色に戻る薬じゃない、と。ちゃんと人の話を聞いてなかったのか、と。ワシは腹が立ったが、確かにやつらそう言っておった。だから肌色に戻る薬があれば渡せ、とそう言ってやったわ」  僕はなるほど、と一言返事をした後、こう聞いた。では今度は肌色に戻る薬を買ったのですか、と。  お爺さんはこう答えた。 「もちろんそのつもりだった。しかしな、やつら肌色に戻る薬に関しては、法外な値段をつけてきよったのだ! なんでこんなに莫大な金がいるのか、と聞いたら、昨日の黄色になった件は我々のミスによるものなので安くしましたが、今回はあなたが聞き間違えたのが原因です。なので薬は本来の値段でお売りします、と来たんだ! それにしたって高すぎると文句を言ったら、いらないのなら買わないで良いと素っ気なく言い切りおった! やつら最初からこれが狙いだったのだ! ワシに家が買えるくらいの金を出せとは、いくらなんでも酷過ぎると!」  そう真っ赤なお爺さんは顔だけをより赤くして激昂した。  僕はその怒りっぷりを見ながら、最後にこう聞いた。じゃあ今からお金を持って買いに行くのですか、と。  お爺さんはこう答えた。 「いや、今から家に帰るところだ」  そう言って真っ赤なお爺さんは、重そうな荷物を片手に持ちながら、夕日を背に小道の十字路を歩いてどこかに去って行った。
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