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嘘……出て行っちゃった……。
そういえばオレ……紫津木のケー番知らないんだ……。
ダメだ…追いかけなきゃ!
でも…追いかけてどうする?
追いかけて、引き止めて……それから?
あんな事話せる?
話したらどうなる?
これからも傍にいたいのなら、いつか話さなきゃいけない。
それとも、もう、会わない…?
ダメ……ダメだよ。 想像するだけで、胸がズキズキする。
まだ残ってるんだ。
抱きしめられた時の、紫津木の腕の感触、頬に触れた肌の暖かさ、匂い、声……。
会いたい……。
会いたいよ……紫津木!
カチャ
ぇ……?
「また泣いてたのか?」
紫津木が、リビングの扉を開けて、普通に入ってきた。
ぇ……
「何で……?」
「それは……」
紫津木は、ばつの悪そうに髪をかきあげながらローテーブルまで来ると、宿題のノートや教科書をかき集めて、リュックに詰め込んだ。
ああ……忘れたのね。
オレは可笑しくなって、少し笑ってしまった。
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