1283人が本棚に入れています
本棚に追加
紫津木は、視線をノートに移した。
左手で顔を隠すように肘をついているから、表情がわからないけど、
それを良いことに、紫津木の様子を見つめた。
この時間、この空間が心地良い。
この世に永遠なんて無いことは、わかってる。 ……けど、せめて、このまま異空間に飛ばして欲しい……!
誰にも邪魔されたくない。
「如月?」
紫津木が、穏やかな表情でオレを見ていた。
ぁ……オレ、またやっちゃった?
気のせいかもしれないけど…
紫津木の雰囲気が、昨日までと違う気がする。
「ねぇ……親善試合は、いつなの?」
紫津木が、教えようと息を吸った瞬間、
インターフォンが鳴った。
きた……。
現実がやってきた。
恐る恐る目だけで、紫津木を見た。
昨日までは、オレの様子を見てから、男達を追い返す…というパターンだった。
すっかり、紫津木に甘えていた。
いつか、しっぺ返しが来るとわかってはいるけど、
この時間を失いたくなかった。
はっ?!
紫津木?!
「何……してるの?」
最初のコメントを投稿しよう!