5.あの日

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紫津木は、視線をノートに移した。 左手で顔を隠すように肘をついているから、表情がわからないけど、 それを良いことに、紫津木の様子を見つめた。 この時間、この空間が心地良い。 この世に永遠なんて無いことは、わかってる。 ……けど、せめて、このまま異空間に飛ばして欲しい……! 誰にも邪魔されたくない。 「如月?」 紫津木が、穏やかな表情でオレを見ていた。     ぁ……オレ、またやっちゃった? 気のせいかもしれないけど… 紫津木の雰囲気が、昨日までと違う気がする。 「ねぇ……親善試合は、いつなの?」 紫津木が、教えようと息を吸った瞬間、 インターフォンが鳴った。 きた……。 現実がやってきた。 恐る恐る目だけで、紫津木を見た。 昨日までは、オレの様子を見てから、男達を追い返す…というパターンだった。 すっかり、紫津木に甘えていた。 いつか、しっぺ返しが来るとわかってはいるけど、 この時間を失いたくなかった。 はっ?! 紫津木?! 「何……してるの?」
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