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紫津木は、制服の紺のカーディガンを脱いで、Yシャツのボタンを外し始めていた。
オレの問いかけには答えずに全部外すと、髪を両手でクシャクシャっとして、
「出てくんなよ」と、言い残し、玄関に行ってしまった。
何?……何するの?
だって、昨日までは普通に出てたじゃん。
オレは、全神経を耳に集中させた。
扉を開く音……。
「何?……アイツに用?」紫津木の声。
「………」相手の声が聞こえない…。
「風呂入ってるけど、呼ぼうか?」
「………」
扉の閉まる音…
終わったんだ。
「やり過ぎたかな……」
と、紫津木は、髪をかきあげながら入ってきて、座ってるオレと目と目が合ったとたん、表情が固まったのがわかった。
ん?何?
オレの前まで来て、ひざまずいたかと思うと、
腕を引かれ抱きよせられた。
ええええ?!何?何?何?!
どうした?
オレの頬が、直に紫津木の肌に触れて、妙にドキドキする……!
なんだよ…さっきは近いって言ったくせに…こんなのありかよ…
でも…でも…暖かい…ホッとする…紫津木の匂い…
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