5.あの日

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紫津木は、制服の紺のカーディガンを脱いで、Yシャツのボタンを外し始めていた。 オレの問いかけには答えずに全部外すと、髪を両手でクシャクシャっとして、 「出てくんなよ」と、言い残し、玄関に行ってしまった。 何?……何するの? だって、昨日までは普通に出てたじゃん。 オレは、全神経を耳に集中させた。 扉を開く音……。 「何?……アイツに用?」紫津木の声。 「………」相手の声が聞こえない…。   「風呂入ってるけど、呼ぼうか?」 「………」 扉の閉まる音… 終わったんだ。 「やり過ぎたかな……」 と、紫津木は、髪をかきあげながら入ってきて、座ってるオレと目と目が合ったとたん、表情が固まったのがわかった。 ん?何?    オレの前まで来て、ひざまずいたかと思うと、 腕を引かれ抱きよせられた。 ええええ?!何?何?何?! どうした? オレの頬が、直に紫津木の肌に触れて、妙にドキドキする……! なんだよ…さっきは近いって言ったくせに…こんなのありかよ… でも…でも…暖かい…ホッとする…紫津木の匂い…
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