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「震えてる」
えっ?
「お前いつも、インターフォンが鳴る度震えるんだよ」
オレ……震えてた?
紫津木を見上げた。
「バカ!……そんな顔すんな」
更に強く抱きしめられる。
オレ…どんな顔したの?
「なぁ…」
抱きしめたまま、紫津木が話しかけてきた。
「震えてまで、なんでアイツらの相手すんの?」
あ……
「その……安堂とかいう奴のこと……好きなのか?」
「ち……違う!」
紫津木を見上げ、ブルーグレーの瞳を見つめた。
「じゃ……なんで?」
でも……言えない……言ったら…………たぶん…会ってくれなくなる……。
「……わかった」
冷たい響きに驚いて紫津木を見ると、オレから身体を離して、立ち上がった。
「紫津木……?」
目を合わせてくれない。
紫津木は黙ったまま、ボタンをしめ、カーディガンを羽織った。
「帰るわ……」
「紫津木?」
「立ち入った事訊いて、悪かったな」
と、切なそうに笑った。
え……
リュックを肩に掛け、リビングを出て行き、
そのまま、玄関を出て行てしまった……。
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