5.あの日

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そんな紫津木の優しさに触れて、自然と彼の袖口を掴んでいた。 「ん?」 「話す……全部話すよ」 「え?」と、目を丸くして驚いている。 「早っ……つーか、いいの?」 「うん……話さないまま、会ってるのも辛いし……」 「わかった……」 「後、どうするかは、聞いてから紫津木が判断して」 オレは、大きく深呼吸した。 「人に初めて話すから、凄い緊張する…」 ふぅ…。小さく息を吐いた。 「ちょっと待て」 「ふぁい?」 出鼻をくじかれて、噛んじゃったし…。 紫津木はオレの隣に来て、片膝を立てて座った。 「真向かいに居るより、隣に居たほうが話しやすいだろ?」 と、包み込むように見つめられた。 「うん……ありがとう」 もう一度息を吐いて、 オレは、話し始めた。
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