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「ジャージで良ければ、オレの貸すよ。 予備で一着持ってきてるから」
背に腹は代えられない。
「ありがとうございます。お借りします。 えーと、板…垣さん」
「葵でいいよ。 その代わり、お願いがあるんだけど。 このあと図書室つきあって欲しいんだよね」
「それはいいですけど…」
「助かるよ」と、ジャージを一組渡してくれた。
ぅ……デカい……。
Tシャツは、ダボダボだし、ジャージは長いので、膝が見える位までまくった。
葵さんは、こんなオレの格好を上から下まで、舐めるように見ると、一言。
「彼シャツ? 萌える」
え?聞き間違い?
「オレ、男だけど?」
「わかってるよ。お前のほうがわかってないんじゃない?」
「お前じゃない。如月愛っていう名前があるんだ」
「愛ちゃんか」
「女みたいに呼ぶな」
「じゃ、出るよ」
オレの言葉を軽く無視して、更衣室の外に出ると、出待ちの女の子達が沢山いた。
こういう事か。
「板垣さん、この後の予定は? もし良かったら……」
「ごめんね。彼と図書室行く予定だから」
何か言いたそうな彼女達を無視して、足早に体育館を去った。
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