その時、214号室に入ると…

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 正志は、とぼとぼと自室に戻ってきてドアを開けた。  瞬間――あれ? どうなってるんだ?――と足を止めてしまった。  玄関の感じが、まったく違っていたからだ。きれいに整理されていて、洒落(しゃれ)た玄関マットまであった。そして、なぜか男女の靴があった。  正志が部屋番号を確認しようとした時、女性の声で、 「あら? どうぞお入り下さいな」  それは、あの二階から聞こえた声に似ていた。やがて一人の女性が現れた。 「さー、どうぞ遠慮なく――」  彼女は正志を奥へと誘導した。
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