気づけばそこに。

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それは、我が家に娘が生まれて何ヶ月か経った時の事です。 まだ、言葉も喋れない娘が部屋の天井の角を指差しているのです。しかし、その角には何もありません。言葉も話せないので、最初は気にも止めていなかったのですが…。 来る日も来る日も指を指すのです。 少しづつ成長する娘は、指を指すだけではなく手を振るようになりました。 私も主人も少し怖くなってきていました。 小さい子は、大人に見えないものが見えると聞いたこともあったので。 しかし、言葉を話せないの娘の行動の意味が分かるわけもなく…気のせいだと思うことしかできませんでした。 そして、娘も一歳を過ぎ少しづつ喋るようになったある日の事です。 「ママ、あそこー!」 無邪気な声で娘がそういうのです。 やはり、何かがいるのです。 私にも主人にも見えない何かが……。 「今日もいるねー。」 寝る前に天井を見上げながら、娘が言う言葉に私達はどうすることもできませんでした。 そして、ある日を境に 「どこいっちゃったんだろうね?」 と、言うようになりました。 いったい、娘が見えていたものはなんだったのでしょう。 いまだに、娘に聞くことはできません。
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