杞憂

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彼女が病んでいる。 会えない日が続くとすぐに「寂しい」「死にたい」。勝手に俺の携帯を見て、ちょっとでも女友達とのやりとりがあるのを見ると激怒して泣きながら目の前で手首を切ったり、そうかと思えば俺に隠れてやってるTwitterで俺への愚痴を長々とつぶやいたり。 それでも俺は耐えてた。好きだから。 でも、今日、友達が俺にこれA子(彼女)じゃないか? と画像を送ってきた。それはA子が他の男に肩を抱かれてキスをしている写真だった。Twitterのオフ会とやらの後らしい。そのオフ会の2ちゃんねるで晒されていた画像を友人はたまたま見つけたらしい。 さすがにもう終わりだと思った。 【もう無理。二度と近寄らないでください】 俺は彼女にLINEでそのメッセージと例の画像を送った。 少ししてから携帯は通知と着信で震えっぱなしになった。 俺はそれを無視する。腹の中は煮えたぎってたから。何が起きても知るかと思った。電源を切って、携帯を放り投げてそのまま寝転んだ。 目を覚ますと視線の先の置き時計は二時間経ったことを俺に告げていた。俺はさっきより冷静になり、同時に少し怖くなった。彼女のことだ、本当に下手なことをしていたらどうしよう……携帯を開くとLINEの未読は200を超えていた。そこに彼女からの謝罪と返信がないことへの恨みの言葉が並んでいて、最後はひたすら繰り返されるごめんなさい死にますごめんなさい死にますごめんなさい死にますごめんなさい死にますごめんなさい 俺は慌ててメッセージを送る。 【ごめん、言い過ぎた。ちゃんと話そう】 そして電話もかける。 でもいくらかけても出ない。 LINEをもう一度開くと既読になっていた。俺は安心して思わず息をつく。そして彼女からメッセージが来る。 【本当にごめんなさい。今から会いに行ってもいい?】 【うん、いいよ。落ち着いて話そうよ。】 彼女のメッセージにそう返信する。 彼女のトーク画面から戻ると、他にも未読があることに気付く。彼女の友達のYからだ。 未読9件。 【A子に何かした?】 【A子自分の首切った】 【家行ったら血まみれで倒れてた】 【今病院】 俺は頭が真っ白になった。 【A子が】 【A子が信だ】 【いましんだ】 【ねぇ】 【A子に何かした?】 俺は震える手でもう一度 彼女のLINEを開いた。 未読1。 【もうすぐ着くから待っててね。電話に出られなくてごめんなさい。今、声が出ない】
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