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プログラムNo.7
真っ白くだだっ広い場所。
男が居るのは、今まで見たことないような白一色の場所だった。
さっきまでは狭い体育館のような場所に居たはずだ。
それが光に包まれたかと思うと周囲の様子がまるっきり変わってしまった。
"奴ら"の姿も見えなくなっていた。
振り返るとさっき入ってきた体育館の扉も見えなくなっていた。
周りを見ても四方を囲んでいた体育館の壁も見えなくなっていた。
ライトがぶら下がっていた天井も見えなくなっていた。
だが空が見えるわけでもない。
すべて真っ白だ。
離れたところに黒い線が見える。かなり大きな四角形を描いているようだ。
辺りを見回したが、他には何も見つけられない。
その時、不意に天から声が振ってきた。
「プログラムNo.7を実行します。」
遠くに巨大な映像が現れた。
女性のクローズアップ映像だが、表情が全くない。CGのようにも見える。
「”生還”してください。」
女性はそれだけ言うと、映像が消え音声も切れ、静かになった。
生還ってなんだ。何が起きるんだ。
男はしばらく動かずに周囲を警戒していたが、命の危険を感じるどことか、全く何も起こらなかった。
もしかしたら、"奴ら"にコケにされているのか?
男は「くそっ」と吐き捨てると、ここから脱出する方法を探し始めた。
しかし歩き回っても行っても周囲が真っ白な状況が変わらない。
男は叫びながら、銃を空に突き上げ引き金を引いた。
サプレッサーを付けたグロック19は小さな溜息を吐いた。
そしてしばらくして……男は座り込んだ。
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