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かわいそうなせかいとかわいそうなゆうしゃ。
「このゲームをプレイした子供は、思いやりや奉仕の精神と、何事をもやりぬく不屈の闘志が育ちまして、世のため人のために生きる有能な存在として世界に貢献してゆくのでございます」
「ほんとうですか」
「ほんとうです」
「そんなゲームがあるわけがない。ゲームはゲームでしょう。娯楽でしかない」
「天才はね、努力を努力とは思わない。努力そのものが楽しいのです。努力を楽しんでやると、これはもはや娯楽です。当人にとっては娯楽そのものなのです」
「しかし、ゲームはゲーム」
「一流の野球選手はとんでもない努力を続けた模範的な人間だと思いませんか?」
「野球の話なんてしていませんが」
「野球ってね、ゲームなんですよ」
†
ヒロくんに言われたとおりにサインアップを済ませ、ログインし、キャラクタをデフォルトの選択肢から適当に選びゲームを開始する。もう何人ものキャラクターが待っていた。自分のハンドルは適当につけた。名前がタカシだからTaka。単純なものだが、ヒロくんみたく〝漆黒の破壊神〟みたいな恥ずかしいやつにはしたくなかったし、これでいいんじゃないか。
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