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「今私の隣にいてくれるのは貴司で、それ以外誰もいなくて、他の誰も必要ない。……あ、友達は別だけど」
「お前ってほんと……」
藍李の腰に腕を回し、強く抱きしめる。
最初からそうだ。
自分が好きだと告白した時も、彼女は大好きだと応えた。
そして今も。
誰よりも大切で必要なんだと、言葉を尽くして伝えてくる。
自分の方がずっと想っているはずのに、私の方が上だと言わんばかりの藍李に悔しささえ感じてしまう。
「なんか……悔しそうな顔? に見える」
不思議そうな顔でそう呟く彼女に、またコツンと額を合わせた。
まったく、こんなところまでお見通しなのか。
「うるさい」
「えぇっ!? 私、なんか変なこと言った??」
何が何やらわからないといった藍李を更に強く抱きしめながら「じっとしてろ」と拗ねたように言い、須王はそんな自分に呆れるように笑った。
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