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天変地異はある日突然やって来る。
とある制作会社の総務部で働く神城藍李は、朝一番に部長から会議室に来るようにと指示を受けた。
驚きで目を見開きつつも、急いで部長の後について会議室へ向かう。
呼び出される覚えのない藍李の表情は、不安な気持ちに溢れていた。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。悪い話じゃないから」
「あ、いえ……はい……」
悪い話じゃないからと言われても、すぐに不安が払拭できるわけではない。
会議室に入った後も微妙な緊張が二人の間を流れる。
いたたまれなさに何か言葉を発しようと藍李が口を開けると、タイミングを計ったかのように会議室のドアがノックされた。
「おはようございます、制作部の七瀬です。よろしいでしょうか?」
「おぉ、やっと来たか。入ってくれ」
会議室に入ってきたのは二人の男性。そのうちの一人を見て、藍李の顔色が変わる。
部長はそれには気付かず、にこやかに二人の男を出迎えた。
「須王君も連れてきたんだね」
「総務部の大事な戦力をいただくんですからね。それを言い出した張本人を連れてこないと話になりません」
いったい何の話をしているのかと藍李が首を傾げていると、部長から驚くべき一言が飛び出した。
「神城君、いきなりで申し訳ないが、君には明日付けで制作部に異動してもらう」
「はぁ……えっ!?」
突拍子もない話に思わず奇声を上げてしまう。藍李は咄嗟に口を両手で押さえ、唖然として部長を見上げた。
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