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会議室に入ってからも、藍李は何か考え込んでいる。
佐藤は藍李を驚かさないよう、静かに呼びかけた。
「神城さん」
「え……あっ、はい。すみません、ぼんやりして」
我に返り、藍李は席に座ってパソコンを広げようとする。
それを制し、佐藤は穏やかな笑みを向けた。
「仕事じゃないからいいよ」
「え……じゃあ」
「須王君の妹さんと、何かあったの?」
「!」
ズバリ核心を突かれ、藍李は言葉を失う。
あの写真を見た時、自分はそんなにおかしな態度だったのだろうか。
「私……変な態度とってましたか?」
「いや、そういう訳じゃないよ」
「だったらどうして……」
不安そうな顔をする藍李に、佐藤は変わらず穏やかな笑みを向け続ける。
この様子からすると、須王の妹については藍李にも思うところがある、そのことは明白だった。そして、それを須王に話せずにいることも。
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