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「え、ちょっと待って。それ、須王君知ってるの?」
「いえ、知らないです。顔合わせの時に偶然櫻子ちゃんと二人になる瞬間があって、その時に言われましたから」
佐藤とは対照的に藍李は平静を保っており、それも相まって佐藤はますますオロオロとするばかりだった。
須王の妹、藍李にとってはこれから義妹となる訳で、そんな人物から会って間もなく嫌悪感を露わにされてこの落ち着きようは一体何なんだろうか。
佐藤の凝視するような視線に気付き、藍李は少し困ったような笑みを浮かべる。
「嫌いだって言われた時はもちろん落ち込みましたよ。でも、その言われ方が引っ掛かったんです」
「……どう、引っ掛かったの?」
「櫻子ちゃんが須王君に懐いてるっていうのは?」
「うん、須王君から聞いてる」
「そうですか」
大好きな兄を取られたくない、自分から兄を奪っていく女は嫌いだ、そういった類のものではないような印象を受けたと藍李は話した。
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