ニアリーイコール

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「ところで神城さん、須王のこと、ちょっとは見直した?」 「えっ?」  七瀬の言葉に訳がわからず首を傾げていると、七瀬は他には聞こえないよう声を潜めて言った。 「神城さん、須王が嫌いだったでしょ?」 「え! いや、えっと……嫌いとか……そういうわけじゃ……」  しどろもどろになっている藍李を見て、七瀬がまたおかしそうに肩を揺らす。  自分の気持ちを言い当てられた藍李はどうしていいかわからず、困ったような目で七瀬を見つめた。 「ごめんごめん、神城さんを困らせるつもりはないんだけどさ。神城さん、表面上はうまくやってるように見せてたけど、須王に心開いてないのバレバレだったから」 「うっ……」  自分はそんなにわかりやすいのだろうか、他にもそう映っていたのだろうかと思うと、冷や汗が流れる。 「あぁ、大丈夫。それに気付いてるのって僕とトモくらいだから」 「あ……そうですか……。よかった」 「お、素直に吐いたね」 「!!」  七瀬に見事に乗せられたことに気付き、藍李は降参とばかりに項垂れた。  この曲者部長相手に、誤魔化したり躱したりという行為は全く通用しないらしい。  だからこその “曲者” なのだが。
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