深夜の個人タクシー

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 見慣れた景色を眺めながらタクシーを走らせていると、後部座席の男性が何やら喋っています。携帯電話かなと思いつつルームミラーで男性の顔を確認すると、隣を見ながら独り言をつぶやいていたのです。酔ってるだけか。そう思いながら特に気にせずに走り続けました。  目的地に到着した時、男性は料金を払うと、Kさんにこう言いました。 「○○病院まで行くには1万円で足りますか?」と。 「・・・・・・そうですね、十分足りますけど」 「それじゃあ、この人を病院まで送ってください」  男性は1万円をKさんに手渡ししてから外に出ると、後部座席に向かって手を振っていました。 「え?・・・・・・はい」誰もいない後部座席を確認してから車を出しました。
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