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「なー、ほんま遅くない?」 「しょうがないよ真ちゃん、いつものことなんだから。」 「だけど、正直飽きれるよね。こんな時まで。」 私たちは今日から高校一年生。 同じマンションに住んでる幼馴染…と言っても ただ親同士が同じ会社で働いてて、転勤した先の土地で出会った同い年っていうだけなんだけどね。 「ねぇ宇野ちゃん、呼んできてくんない? 確か部屋、隣だったよね?」 「うん、じゃあ行ってくる。真司郎の機嫌が悪くならないうちに。」 「真ちゃんは私に任せて。そっちは宇野ちゃんに任せるから。」 「なー、もう行こうや。あんな奴、待つ意味ないやろ。」 「じゃ、行ってくる!」 早く行かなきゃ、時間も真司郎もやばそう。 千晃と真司郎は元々から幼馴染で中二の春にこっちに引っ越してきた。 お互い両思いなんだけど、まだ付き合ってないの。 で、私は… ______ガチャ ドンッ いったー… 「んあ! ごめんみさこ!…大丈夫か?」 「なわけないでしょ! 本当ありえないよね。」 「まじごめん!まさかいるとは思わなくてさ…」 「で、なぜあなたは遅れたのですか?」 どうせ… 「寝坊しました…」 やっぱりね。 そう、こいつ。 入学式という大切な日までも寝坊する男、西島隆弘があと一人の幼馴染なのです。
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