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実彩子side___ 今私は全速力で走ってる。 走ってるんだけど… みんな本当早すぎて追いつけないどころかどんどん離れていってる気がする… 真司郎は小学生から野球をしてて足はとっても速いし 千晃は陸上部だったからそこらへんの男子並みに走れるし 隆弘だって小さい頃からのサッカーバカだから無駄に体力あるし… だけど私は、帰宅部で体育なんか一番の苦手科目だから みんなについて行くことすらできない… ちらっと腕時計に目をやると… 8時50分。 入学式は9時30分。 もう、学校間に合わないかも… はぁ、隆弘のせいだ。 隆弘がもっと早くに起きてたらこんなことには… 「みさこは相変わらずおせーな。」 実「…隆弘! なんでここにいんの? 遅れちゃうよ?」 隆「こうなったのは俺のせいでみさこは何も悪くないだろ?」 実「まぁそれは確かにそうだ。」 隆「うっ、そんなに納得すんなよ…。 で、体力のないみさこちゃんは今頃くたびれてんだろーなーっと思って迎えに来た。」 実「…あってるけど。」 なんかムカつく… 実「でも私、もう走れないよ。」 隆「だと思った。」 瞬間、ふわりと浮いた私の体 実「……っえ?! 何してんの!?」 隆「何って、お姫様抱っこだけど。」 実「いやいやいや、下ろして下ろして。」 隆「でも、もうみさこ走れないんだろ?」 実「だけど!」 隆「…はいっ、これ。」 実「あ、ペコちゃん。」 隆「それやるから、少し黙ってて。」 黙っててって…え? 実「…ぎゃー!!! 落ちる落ちる落ちるー!」 いきなり走り出す隆弘 隆「落ちねぇって! それやんねーぞ!」 実「うっ…」 隆「よし、いい子いい子っ。」 そんな何考えてんのかわからない幼馴染は 私の好きな人…なのです。
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