嫌がらせババア

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嫌がらせババア

電車の座席に座っていると、目の前に立ったババアがジッとこちらを見ている事に気付いた。 いや、睨んでいると言った方が良いかもしれない。 白髪交じりでやつれてはいるが、まだ五十代くらい。席を譲られる年でもないだろう。 そもそも六十だろうが七十だろうが、働かず社会に貢献していない年寄りよりも働いて社会に貢献している若者の方が席に座る権利がある。 だいたい若者は普段から仕事で疲れているんだから、暇な年寄りに席を譲るという考え方自体がおかしい。 もちろん俺は無視してやった。 すると、そのババアは無表情な顔をヌッと俺の顔に近づけて来てこう言った。 「私を見て何とも思いませんか?」 隣に座っていた女がこちらにどうぞと席を立つが、ババアは見向きもしない。 まっすぐ俺を見たまま瞬きもしない。 気持ち悪っ。なんで俺だけが譲らなくちゃならないんだ? 「うるせーババア、消えろ」 その厚かましさに殴りたいのを我慢して、押し殺した声で次にババアが取るべき行動を教えてやった。 するとババアは顔をこわばらせ、スッと姿勢を戻して 「そうですか。なるほど、そうですか」 そう言って素直に立ち去って行った。 それから一週間後。     
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