第二章 女難

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 (げっ! こ、この声は!)  三宅香住だった。  白いひらひらしたワンピースに麦藁帽子を被って、日焼けを気にしているらしく日傘を差している。  「あ! 三宅さん、おひさしぶり~」と、答えた。  どうも三宅は街路樹の木陰で涼みながら待っていたらしい。  なんのことはない、日傘が邪魔で顔がわからなかったのだ。  「いつ、きたの?」  と、訊くから「九時半からいる」と正直に答えたら、「あれ? あたしも同じくらい」と言う。  「やべっ! 悪かったなぁ」  「いいから、それより、どっか喫茶店でも入らない? 喉が渇いちゃったよ」  「でも志方とか来るんだろう?」
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